無差別テロ――国際社会はどう対処すればよいか

テロというと日本で起こっていないような認識であるのだが、実際には日本でもテロが起こった。今から23年前に起こった「地下鉄サリン事件」である。世界的にも類を見ない化学テロとして国内外にて衝撃を与えた事件であった。しかし海外から見ると今から17年前にアルカイダによって起こした「アメリカ同時多発テロ事件(9.11)」がある。その後にもロンドンやパリといった大都市部、さらには中東など様々な所で無差別テロが起こったと言われている。本書では実際に起こったテロの歴史とその定義の変遷を取り上げている。

第1章「テロの歴史的経緯」
テロは21世紀前後から始まった話ではない。少なくとも第二次世界大戦後からありとあらゆる所にテロが起こったのだという。もちろんテロというと兵器によって兵士や一般市民問わず無差別に殺害するというような風潮にあったのだが、最近では建物を破壊すること、さらにはサイバー上で情報漏洩させたり、壊したりするような「サイバーテロ」なるものもできてきている。

第2章「被害者の目線から見たテロ」
被害者の目線からするとテロは野蛮なこと、さらには「トラウマ」を植え付けられる出来事にもなる。そのトラウマを脱することは非常に難しく、一生かけて補償を受けるような人もいる。中でも「補償」については日本やアメリカなどテロが起こった国にて法制度を整備し、被害者の補償をどうしているのかを取り上げている。

第3章「9.11同時多発テロが変えた世界」
9.11のテロにより、アメリカ主導でアフガン侵攻、及びイラク戦争の引き金にもなった。他にもイスラム系の過激派組織によるテロが相次いで起こり、今日まで及んだ。

第4章「テロに抵抗する国際的協調体制」
第3章にて取り上げた中でも「アフガン侵攻」は「テロに対する戦争」を標榜していた。そもそも「対テロ」に対して国際的にも協議を行い、協調体制を築くことを特に先進国中心に進められ、いくつもの条約が生まれた。

第5章「テロの定義確立を目指す国際社会」
無差別テロを規制するための条約は現在もなお生まれていない。そもそも第4章で「条約が生まれた」とあるのだが、対テロ非難をするための条約であるだけでテロに対する拘束力を持っていなかった。そのため条約的な拘束力をもった条約を制定する必要があるのだが、安全保障理事会でも国の対立により、なかなかうまく行かない現状にある。

本書を取り上げていく中でも大小問わず世界中で無差別テロが起こっている。そのテロに対してどのように防いでいくのか、それは日本だけでなく、国際的にもともに歩を進める必要があるのだが、政治的・国家的な対立のある中で抑止できるのかは不明としか言いようがない。

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