往古来今

過去・現在・未来と時間は流れるのだが、それがあたかも時空となって移動するようになったような物語である。その過去にしても平安時代にまで遡るほどであるため、時代の流れ、時の流れがあるのだが、その時の流れを中であたかもタイムマシンに乗ったように往来して生きながら「私」を探しているという、あたかも時空を超えた「自分探しの旅」とも言える。

中編小説を5編取り上げているのだが、その昔から今までの歴史の中で「私」はどのような変化を遂げたのか、物語でありながら哲学的に紐解いている部分もある。そのため本書の物語を完全に理解することは難しく、物語の文脈を哲学的に当てはめないといけない部分がおおくあるため、小説だけで物語を理解するのであれば本書は難しい一冊である。しかしながら哲学もかじっている方であれば本書は哲学書と小説とで一石二鳥に読み解ける一冊とも言える。

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