AIのある家族計画

SF

AIの技術は日進月歩の如く進化しており、ついに私たちの生活の中にも入りつつある。もっとも本書のタイトルにあるような「家族計画」は、あくまでフィクションではあるにせよ、現実味を帯びている面も拭えない。

SF要素が満点の作品でありつつも、現在の状況も重ね合わせており、SFならではの現実とのかけ離れがそれ程感じないのも本書の特徴である。今から数十年後っぽく描かれているようだが、実際には数年後にできそうな気がしてならないのも本書の魅力である一方で、昨今のAI技術の進歩の賜物なのかもしれない。

そもそもかつて将棋・囲碁はAIを始めたコンピュータ技術に勝利するまでに数年~数十年係ると目されていたのだが、将棋は6~7年前、囲碁に至っては一昨年に人間の、しかもトップクラスの棋士にも勝利するほどにまでなった。わたしたちの予想するほどの進化の速さを持っているAI・コンピュータだからでこそ、今からそれほど年も経たないことで本書と重なるようなことが起こるかもしれない。しかし、そこに「AI」はあっても「愛」はあるのかというと、これは別問題であると言える。その皮肉さをまざまざと描いた一冊と言える。