なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?

「世界のエリートは~」とあると色々な方法に関するビジネス書があり、かつ「そこまで書くのか?」と思ってしまうことも少なくない。ネガティブに言うと何番煎じになるように同じような傾向でつくられる本もあるのだが、本書はどうなのかと言うと、ビジネスの世界とは縁遠い印象を持つ「美術館」であるのだが、実際の所ビジネスにも「感性(センス)」が求められることがあり、通ずるところがあるという。本書はエリートがなぜ美術館に行き、何を得るのかを取り上げている。

第1章「「作品の情報」に頼らずに鑑賞する」
美術館に行くとなると、その美術館に展示されている情報や作品の情報などの情報を得ようとする。しかしながら美術館で見るのは「作品として」ではなく、「アート」そのものの印象を観るのであるため、経緯などの情報よりも「見たまま」の情報を得ることを主軸としている。

第2章「 じつは、私たちは「アート作品」を見ているようで見ていない?」
アートというと作家の歴史から背景に至るまでのことを学ぶこともまた鑑賞の一興であるのだが、第1章でも述べたように本書では「ありのまま」のアートを見てどう解釈するか、そしてどのような印象を持っているのかを判断する。その判断基準として何が必要なのかも取り上げている。

第3章「「アート作品」は「事実」と「解釈」を分けて鑑賞する」
ありのままのアートをみた中でどのような解釈を持つのか、そしてどのような事実を見ていくべきか、仮説や解釈などはビジネスの世界でも存在するものである。その上での「センス」について絵画を通じて伝授している。

第4章「「3つの問い」と「4つのプロセス」で鑑賞を深める」
もっともアートをみることは解釈や事実を見るだけでなく、そこからどのような見方をしていけばよいのかを考える、他にも他の人の意見を聞くなどにより、多角的な視点を得るなど、用途は様々である。

第5章「【実践編】アート作品を鑑賞するときの8つの視点」
では実際に美術館やアート展に行くとする。その中で持っておくべき「視点」とはいったいどこにあるのかを8つ取り上げている。取り上げているものは初級から上級まで段階的にあり、始めてみる方々も、何度も観ている方々にとっても実践しやすくできている。

アートを観ることはビジネスにも直結している部分がある。それは「仮説を立てる力」「感性」「解釈力」、そして「直感力」と挙げていくだけでもきりがないほどである。美的センスを持つというよりも、アートそのものから何を「感じ取るのか?」、そしてそれをどのように伝え、かつ他人から得た視点を自分と当てはめて、多角的に観ていけばよいのかといった視点を築き上げることにもつながる。ビジネスセンスを磨くのはアートを観る所にも効果があると言える。