若旦那のひざまくら

恋愛を「織りなす」と言う言葉を見事なまでに表現している一冊である。

本書はあるデパートのバイヤーが京都にやって来て、京都の伝統的な織物である「西陣織」の織屋の若旦那と出会ったことから物語は始まる。和服への普及に燃えるバイヤーと織屋の関わり、やがてそれは恋愛へと発展したが、そこに多くの壁があった。

京都弁で「いけず」と言う言葉があるのだが、「憎たらしい」や「意地悪」といった表現もあれば、「いけずな人」となると「つれない人」「不親切な人」という言葉にもなる。その「いけず」な若旦那だが、その若旦那に惚れたバイヤーは相手の両親の反対もあり、恋のライバルもでき、周囲の人たちに翻弄されながらも、成就するといった、典型的でありながらも、ハートウォーミングな恋愛物語である。西陣織の現状についても克明に描かれており、まさに見事な物語を「織り」なしている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました