アニメの社会学―アニメファンとアニメ制作者たちの文化産業論

私自身アニメファンであるため、様々なアニメを視聴することが多くある。実際にこだわってみるのがストーリーの流れだったり、オープニングやエンディングといったものも重視する。作画も見るには視るのだがあまりこだわっていない方である。

私事はさておき、アニメ自体は既に日本のポップカルチャーの一つとしてあげられ、海外でも評価は高いのだが、社会学の学問の観点からアニメはどのように評価されているのか、本書ではそのことについて取り上げている。

Part1「アニメファンのさまざまな実践」

アニメは一つの「文化」であると同時に「産業」でもある。特にアニメファンが実際にアニメを視聴したときに、どのような行動を起こすのか、その部分について取り上げている。注目をする、ブログやSNS、動画などで語る、さらにはアニメ作品に因んだ催しなどもある。アニメなどに絡んで声優のTV出演も目立ってきており、声だけの出演ばかりではなく、アイドル並みにライブを開催したり、テレビドラマにも出演したりする声優もいる。またファンの考察として声優で歌手の水樹奈々をファンとしている方々の考察についてを本章にて行っている。

Part2「アニメ産業を支えるさまざまなアクター」

アニメ産業は日本のみならず、海外でも広がりを見せるとともに、最近ではアニメ開発をアジア諸国に「外注」するといった動きもある。しかしその制作には大きな「闇」が存在している。10年ほど前からずっと言われてきたことだが、かねてから「ブラック企業」と呼ばれて久しい中で、アニメ業界は賃金・労働時間ともに安く、なおかつ労働時間も長いといった指摘があり、中には労災となった事例も少なくない。またここ最近では変化を見せているものの、メディアミックスをはじめとしたビジネス展開についても課題が残っている。

Part3「アニメ産業を支える「技術」と制度・メディア」

今でこそブームと言うよりも、一大文化としてなっているアニメだが、今もあるOVAやOADといった発明、さらにはキャラクター性が社会の中でどのような役割をなしているのかなどを取り上げている。

アニメは様々な角度で観てみると、奥が深い部分もある。今回のように社会学的に紐解くこともあれば、キャラクターデザインをはじめとした作画における技術の変遷、さらにはアニメにおけるマーケティングのあり方の変化と、語り出すとキリが無いほどにまである。その一端を垣間見ることができた一冊でもある。