傾聴思考 対談 知性と豊かさを手に入れる 一流をつくる7つの言葉

よくコミュニケーションの世界では「傾聴」が重要視されることが大いにある。傾聴は、単純にじっくり「聞く」のではなく、「耳」に「心」と書いてあるため、その人の意図や考え方など、心的な部分まで掘り下げて「聴く」ことが肝要である。

本書はその傾聴でもってどう考えるかのノウハウを伝えるように見える。しかし本書は6人の対談を通して、その人がどのような嗜好を持っているのか、なぜ一流でいられるのか、対談でもって傾聴しながら解き明かしている一冊である。

#1「サチン・チョードリー」

「インド人大富豪」などの著書を上梓し、なおかつ企業の取締役などを歴任し、経営や投資家、教育者の側面のあるサチン・チョードリーの考え方、それは「創造」にあった。しかしその「創造」のあり方は、とあるプロレス団体の旗揚げ戦のセリフのようである。そもそもビジネス自体も創造や変革(イノベーション)が常に行われているが、そもそも何をもって「創造」や「変革」を行うのかもまた大事になる。

#2「松久純子」

父が松久信幸で世界的なレストラングループのオーナーシェフである。松久純子はその娘で経営面で支えている立場であるが、父の威光に甘えることなく、父が築き上げてきたブランドに新たな挑戦を行い、自分自身を発見することも必要である。

#3「池澤智」

「ボディメイクの最後の駆け込み寺」とまで言われている池澤智は、師であるケビン山崎から学んだことを賭して、自らの潜在能力を引き出すために「整える」ことの大切さを伝えている。よくある「整理術」でもヒト・モノかかわらず整理をすることによって、何が余分なのか、足りないのかなども見えてくる。

#4「山崎拓巳」

「やる気のスイッチ」「人生のプロジェクト」「ひとり会議の教科書」など数多くの自己啓発本を上梓し、自ら講演を多数行っている山崎拓巳。著者とは長い付き合いであるが故にざっくばらんとした対談だったが、その内容は「好き」というものである。好きは仕事になる・ならないの議論は絶えないが、そもそも「好き」がなぜ大切なのかも併せて説いている。

#5「真木蔵人」

俳優やラッパーなどマルチに活躍する真木蔵人だが、著者とはサーファー仲間であり、かなり近しい関係にある。その近しい関係であるが故にオファーの仕方もかなり特徴的だった。それはさておき、本章で語られたテーマは「自分軸」。考え方や価値観など「軸」は大切な要素である。その軸をどのようにつくり、持っていくべきかが詰まっている。

#6「間聖次朗」

ミュージカル俳優の間聖次朗は現在、活躍の場を脚本や演出にも裾野を広げている。その要因としてあるのが「覚醒」。自分自身の能力、立ち位置などありとあらゆる側面において「覚醒」をすることによって、どのような力が引き出されるのかを取り上げている。

#7「北紺守彦」

6人の対談を通して、さらには著者自身の経験を通して、今を生きている中で、その「瞬間」はどのように映り、そしてこれからの「瞬間」を生きるのか。そのことについて取り上げている。

人との対談の中で自ら持っている価値観が変わることも大いにあり、なおかつ得られる要素もある。本書は一流と呼ばれる6人の対談を通して、一流たり得る要素とは何か、そして自らはその一流の要素を通して何を学び、考え行けばよいのか、その指針を示している。