野田秀樹×鎌田浩毅 劇空間を生きる

まさに「異色の対談」といえる一冊である。方や演劇の世界にて生きる演劇人、方や火山学者。同級生ではあるものの、進んでいる道は全く異なる2人が演劇について語るというものである。

第I部「演劇界の旗手の軌跡」
第1講「子ども時代~夢の遊眠社──生まれと育ちと」
著者の一人である野田秀樹氏が生まれ育ち、そして演劇の世界に入るまでの所を取り上げている。さらに演劇の世界に入り、学生の時につくった作品まで言及している。

第2講「NODA・MAP設立以降──ロンドンからの道」
野田秀樹が「NODA・MAP」を設立したのが1993年。28歳の時である。ワークショップ形式で演劇をつくり上げる新感覚の演劇として話題となった。「NODA・MAP」をつくるまでのあらましと演劇の変化について1992年から1年間ロンドン留学を行ったエピソードも絡めて取り上げている。

第II部「演劇の世界」
第3講「クリエイティブの源泉」
演劇はクリエイティブの塊なのかもしれない。そもそも演劇をつくり上げるにも原作もあれば、完全なオリジナルストーリーを紡ぐこともある。前者にしても、演出方法や台詞回しにしても、独自のオリジナリティが働くこともあるためでもある。演劇の中でも「歌舞伎」もまた野田秀樹によって斬新な演出を取り入れられることがあった。2001年に公演され話題となり、シネマ歌舞伎にまでなった「野田版 研辰の討たれ」もあれば、昨年「野田版 桜の森の満開の下」が公演された(2017年8月納涼歌舞伎にて)。

第4講「偶然崇拝」
クリエイティブの中には「偶然の賜物」も存在する。その偶然によって思わぬ演劇を生み出し、大盛況になることも度々あったという。そのことから野田氏は偶然を崇拝することもあるのだという。

第5講「人間と芝居」
火山学と演劇、関連性がないように見えてあるものもある。そこには「人間」が媒介している。その人間には火山噴火や活動で発生した、人間としての在り方、芝居を通しての人間の在り方、それぞれの模様がある。そのことを両者が指摘している。

異色でありつつも、共通している部分を見出すことができた一冊であり、全く違う分野でも学べるものがあるということを知ることのできた一冊であった。

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