いずれすべては海の中に

クジラ音楽と見ると、どことなく幻想的な雰囲気を持っている。本書もその例外に漏れないのだが、短編集でありつつも、SFやミステリーの要素もふんだんに詰まっており、なおかつファンタジーの要素もあるなど、「小説」の概念でできることのほとんどを短編集の中で行っているような感覚だった。

幻想とその物語にある「現実」がうまく調和されており、物語の中にある「喪失」を感じさせるようにつくられている。そう言う意味で、不思議な感覚に陥るだけでなく、読者に対してある「問い」を投げかけている。それは本書で描かれている物語を通して、あなたはどう生きるか、どのように現実に立ち向かうのか、である。

その「問い」を前提に読んでいくと、色々と考えさせられる一冊であり、日本の小説にはないタッチが何とも言えない面白味を感じられる一冊でもある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました